睡眠時無呼吸症候群とは?
Sleep Apnea Syndrome (SAS)
睡眠中に呼吸が止まる、または浅く・弱くなることにより日常生活にさまざまな障害を引き起こす疾患です。
睡眠時無呼吸症候群はSleep(睡眠)、 Apnea(無呼吸)、 Syndrome (症候群)の頭文字をとってSAS(サス)と呼ばれています。
次の症状がある方は睡眠時無呼吸症候群かもしれません
- 眠っている時に「呼吸が止まってる。いびきがうるさい」と言われる
- しっかり寝ているのに日中に強い眠気、疲れを感じる
- 夜中に何度もトイレへ行くことがある
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
◎夜間の症状
いびきがうるさい
呼吸が止まっている
寝汗をかく
寝相が悪い
何度もトイレに起きる・・・
無呼吸の間いびきが止まり、あえぐような激しい呼吸や大きないびきとともに呼吸が再開するという特徴があります。あえぐような呼吸をするため、寝汗をかいたり寝相が悪くなります。
また、夜中に何度もトイレに起きるなどの症状があります。
◎昼間の症状
倦怠感や頭が重い・・・
呼吸が止まっている間は、酸素欠乏状態にあるため起床時に頭の重さを感じることがあります。体を休めるための睡眠で酸素欠乏状態になるので、全身の倦怠感や不眠につながります。
日中の眠気・・・
無呼吸状態から呼吸を再開するたびに脳が覚醒するため睡眠が分断されます。本人に目が覚めた自覚はないのですが、深い睡眠が得られておらず、きちんと睡眠をとったつもりなのに実は睡眠はこま切れ状態に陥っているのです。
睡眠時無呼吸症候群の主な原因とは?
いびきをかくということは?
いびきは、睡眠中に空気の通り道(咽頭(のど))が狭くなり、そこを空気が通る時にのどの壁が振動することによって生じる音です。つまりいびきをかくということは、気道が狭くなっている証拠といえます。
ではなぜ気道が狭くなるのか・・・?
健常人でも仰向けで寝ると、重力により舌や軟口蓋が落ち込み、気道が狭くなります。睡眠時は、のどの周囲の筋肉の緊張もゆるみがちになります。
①筋力の低下(加齢)、②舌が重い(肥満)③顎が後退している、扁桃肥大がある、軟口蓋が長い(形態的問題)などの理由で気道がふさがったり、狭くなります。
また④口呼吸をしていると舌が落ち込みやすくなります。
睡眠中は重力により、軟口蓋、喉頭蓋が下がり、気道は狭くなります。
鼻やのどに何らかの異常があると気道が狭くなり、睡眠時には気道がふさがり呼吸ができなくなります。
睡眠時無呼吸症候群のセルフチェック
このテストではSASのリスクを簡易的に評価します。
SASの特徴に日中に強い眠気を感じたり、居眠りをしてしまうことがあります。あなたの健康状態からSASの可能性をチェックしてみましょう。
質問 | 点数 |
---|---|
1.しょっちゅう(常習的に)いびきをかく | 1.5 |
2.肥満傾向がある | 1.5 |
3.高血圧がある(高血圧の薬を飲んでいる) | 1.5 |
4.昼間の眠気・居眠りで困ることがある (仕事中、会議中、運転中など) | 1.5 |
5.寝つきは悪くないが、夜間の眠りが浅い またはしばしば目が覚める (トイレで目が覚める場合も含む) | 1.0 |
6.いくら寝ても朝疲れが取れていない感じがする もしくは朝しばしば頭痛がある | 1.0 |
7.お酒を飲んでいない日でも、 夜間寝ている時に息が止まる日がある | 3.0 |
合計 | 点 |
合計が3.0点以上の方は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性が高いです。早めに受診されることをお勧めします。
検査について
まずは睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来を受診ください。
問診のあとにスクリーニングまたは簡易検査を行っていただきます。
スクリーニング
ご自宅で指先にセンサ(パルスオキシメータ)をつけ、血液中の酸素を測定します。
評価内容/無呼吸による酸素低下状態
簡易検査
ご自宅で、指先センサと呼吸センサをつけて血液中の酸素と呼吸の検査を行います。
評価内容/無呼吸による酸素の低下状態、無呼吸低呼吸指数(AHI1)
1:AHI Apnea Hypopnea Index 無呼吸低呼吸指数
AHIが40未満の場合はポリソムノグラフィー(PSG検査)を行います。
PSG検査は睡眠の検査ではもっとも精密な検査方法になります。さまざまなセンサを装着する必要があるため入院して行います。
評価内容/無呼吸による酸素の低下状態、無呼吸低呼吸指数(AHI)、睡眠の質、不整脈の有無、他睡眠障害の有無
ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)は、専門の検査担当者がさまざまなセンサを検査中にはずれないようしっかりと取り付けていきます。
また、微細な信号である脳波を捕えるため、検査に適した部屋での入院が必要となります。検査に痛みを伴うことはありません。
治療方針の決定
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合は、適切な治療法を選択します。
①CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)
CPAP(シーパップ)療法(持続陽圧呼吸療法)はCPAP装置からホース、マスクを介して処方された空気を気道に送り、常に圧をかけて気道が塞がらないようにします。この療法を適切に行うことで睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、症状の改善が期待されます。CPAPは治療効果が高い治療法です。
CPAP療法は検査を行い一定の基準を満たせば健康保険の適応になります。
■CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)の効果
CPAP療法を適切に行うことで、睡眠中の無呼吸やいびきが減少し、熟眠感が得られ目覚めもすっきりします。
治療を続けることによって、眠気がなくなる、夜間のトイレの回数が減るといったOSAS症状の改善が期待されます。またCPAP療法による降圧(血圧を下げる)効果の報告もあります。視力矯正のために眼鏡を使い続けるように、CPAP療法も治療器を使用しなければ無呼吸は無くならず効果はありません。継続して使い続けることが重要です。はじめてお使いになる方は、治療器に慣れるまでに2~3か月かかる場合があります。
■CPAP装置の医療保険システム
CPAP療法は、検査を行い一定期の基準を満たせば健康保険の適用になります。
その場合には、定期的は外来受診が必須となります。外来時に主治医と相談しながら、より良いCPAP療法を継続していただくことが重要です。
②口腔内装置による治療
下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにする装置を装着し就寝します。口腔内装置の作成は、健康保険に適用になります。
③手術による治療
気道閉塞の原因がアデノイド肥大や扁桃肥大などの場合には、手術で取り除くことがあります。また、鼻閉を起こす鼻疾患は、CAPや口腔内装置の治療を妨げるため手術が必要となる場合があります。
生活習慣の改善が必要です
生活習慣の改善のみでSASを治すことは難しいですが、他の治療と組み合わせることでSASを軽減できます。また、少しでも良い睡眠がとれるように、眠りにつきやすい環境を整えることも必要です。
減量
肥満が原因の場合は、効果があります。4年間にわたり体重の変動とAHIの変動について観察した結果では、10%の体重の減少でAHIが26%減少したという報告もあります。
横向きで寝る
少しでも重力の影響を受けないよう、体を横向きにして寝ると症状が軽減する場合があります。
減酒
アルコールは、のどの筋肉をゆるめる作用があるため、いびき、無呼吸を起こしやすくします。また寝つきが良くなることもありますが、夜中に目が覚めたり、浅い睡眠を増やす作用もあります。
いびきや眠気が気になる方、ご自分の睡眠に不安を感じる方は、健康維持のためにも一度ご相談ください。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)外来受診について
受診には予約が必要です。受診を希望される方は、総合受付またはお電話にてお問い合わせください。
診 療/ 毎週水曜日 14時00分~16時00分
診療予約/TEL 0197-47-6720
(直通、受付時間 平日9時00分~17時00分、お盆・年末年始を除く)
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